心、というか自分の軸みたいなものをぐわんぐわん揺さぶられる本。

刺激が多いから揺さぶられるのではない。

岸見先生の語り口や思想があまりにも穏やか。凪いだ海のよう。

それに対して自分の気持がざわついているから、自分の気持のささくれが目立ってぐさぐさ。

読んでいてつらい。でも、共感する。

そんな本です。

 

内容にはあまり触れないでおきますが、基本的な軸はタイトルの通り。

子育てに叱る必要はない。

でも、本書では褒める必要もないとある。

この字面だけ見るとミスリードされそうになるので、これは是非ご自身で読んで理解をしてほしいところ。

基本的なスタンスとしては、親と子は対等である、ということ。このスタートに立てないと多分全文に渡って「うーーん」となるかもしれない。

そしてこれは子育て論でもあるが、部下育成論でもある。

特に「叱らない」というのは私も強く同意。

叱る、というよりも気付かせる。考えさせる。本人が選択する。

勿論教えるシーンもある。でも、教えたことをやるかやらないかは本人の課題。

それを言ったとおりにやらないからと言って無理やりやらせるのは多分違う。

再度意思を確認する必要がある。

 

もしかしたらこういったアプローチをまどろっこしいと思う人もいるかもしれない。

今はそうかもしれないけど昔は違った、と思う人もいるかもしれない。

でも、冷静に考えてみて欲しい。

人間のやっている事なんて4000年前から何も変わっていない。

だから論語や孫氏の兵法等が今でも読み継がれている。

変わったのは社会や環境。人間は変わっていない。

一昔前は会社の言う事聞いていれば給料が上がり生活が向上し豊かになったから「我慢する」ということ選択していたにすぎない。

でも今はご存知の通りそんな空手形はない。会社や上司の言う事を聞いていても豊かになれないと分かっている。だからこそ、自分で何を選択するのかが大事。(というか、会社もその主体性を求めている)

あふれている情報の量も違う。

情報の取り方も違う。

でも、人間が本来持っている「自己決定感」が大事ということは昔から変わっていない。

 

奇しくも最近脳科学や心理学の本を読む事が増えた。

それは太古から変わらない、人間の中身を私が理解したくなったからかもしれません。