【読了】『行った気になる世界遺産』
2021.01.10
いや、本当に行った気になります。
著者の鈴木さん(俳優さんなんですね)が様々な世界遺産のエッセイを書いているのですが、これが非常に心に刺さる。というか、じんわりと入ってくる。その情景を見ているような気になる。そんな本。
ただ、当人も行っていないまま書いているのが面白い。
でも、本書を読んで世界遺産の圧倒的なさまを感じます。
それは、圧倒的な自然の積み重ねだったり、圧倒的な先人たちの営みだったり。
世界遺産って世界文化遺産とは違って、本物じゃないと認定されないらしい。
でも、中にはダムの建設なので移設を余儀なくされた遺跡も認定されている。
それは本物うんぬんよりも、その人の営みこそが歴史でもあり、圧倒的でもあるからだと思う。
ピラミッドが建設されたのは紀元前2000年位。
そう考えると我々の生きている間の歴史なんて目くそみたいなもの。
でも、その小さな営みの一つ一つの積み重ねが何かを作っているのかもしれない。
いや、もしかすると、その積み重ねの過程のなかで自分たちで「意味づけ」をしているのかもしれないし、もっと言えば出来上がった後に「意味づけ」をしているのかもしれない。
結局は今生きている自分たちが目にしているものに対して、どんなメッセージを受け取るのか?それは自分たちが決める事。
ただ、自然でも人でも、その圧倒的な積み重ねには敬意を払わずにはいられない。
読みながら頭がほんわかしてきます。そんな本。