Know-How ノウハウ

【読了】『HRプロファイリング』

2020.06.19

中々読み応えのある本。

実は僕も人事時代ずっと、「人材開発を科学する」を実践してきました。

常に定量的なデータを根拠に置き、それをベースに採用や育成の戦略を考える。仮説と検証を繰り返していたのですが、当時の気分としては人事の仕事が僕の実証実験の場だった。そんな感覚です。

と言うのも、人を採用する。人を育成する時、その定義を考えると「いい人を採用しろ」とか「成果を出せる人を育てよう」みたいな、曖昧な言葉になってるんです。それって何?といつも思っていたし、その基準は自社で創るしかないよね、と思っていたので、なるべく定量的に定義しようと模索をしていました。

多分人事評価制度を設計する時に途中まで大手のコンサル会社の人と仕事をしていたので、そんな思想が身に着いた気がしますし、その後お世話になったRMSさんとのやり取りの中でも「人事を科学する」という視点でやり取りをしていたからかな、とうっすらと覚えています。

ただ、本書を読んで改めて感じたのは、それでももっと科学できたな、ということ。

私が当時目指していたものは、コンピテンシーを活用して人財モデルを作る、ということ。

それを採用にも育成にも評価にも活かしていました。

ただ、リーチしていなかった、というか、私自身の視野に入っていなかったのが「ヒューマンコア」

。人の行動に影響を与えている、いうなればその人の特性、ともいえるのかな、と。

私は行動が結果の源泉でもあるので、どのような行動が発揮されていれば良い結果につながるのか?

言い方を変えると、どのような行動が求められているのか?を定義し、採用や育成、評価に使っていました。

でも、これ基本的に全てヒアリングがベースなんです。

なので、ヒアリング力によって勿論差が生まれるし、相手が盛って話すこともある。

あとは、その行動が必要と分かっていても行動できない人もいるわけなんです。

その人をどう開発していくのか?と言うところが結構しんどかったんですね。そこで行き詰るわけです。

「ヒューマンコア」とは、いうなれば行動とかの元になる「動機や性格特性」。これを測定することでもっと根っこの部分で採用用件の定義や配置にも使えるし、その人にあった育成スタイルも作れるわけです。

コーチングでも使う「DiSC」と似ている。(https://clearkyoto.com/service_disc)

マルコポーロと言う測定ツールでその人のヒューマンコアを測定し、また、社内の人も測定できれば、成果につながるヒューマンコアの定義もできる。

それが採用用件にもなる。勿論育成の仕方も変わってくる。

 

うーーん。

俺ってまだまだ科学的じゃなかったな、と改めて思いました。

 

このヒューマンコアを戦略のベースにすることのメリットは、根拠がはっきりすること、に尽きるかなと思います。

科学的な根拠で採用戦略や育成戦略が立てられる。

何よりも、説明がしやすい。

PDCAのPとCの質が向上すると思います。

ただ、一番大事なことは運用。

きちんとPDCAを回し続ける、と言うことをしていかないと折角のツールも無駄になる。

人事部門としては特にCとAをどのタイミングでやるのか?をあらかじめPの時点で決めておくことも必要でしょうし、採用に至っては日次でPDCAを回す仕掛けがやはり必要です。

 

人財は経営資源の中で一番伸びしろがある資源。

だからこそ、投資をし社員と会社の未来を創る、と言うことが求めらていると思います。

どうしてもオペレーション業務に忙殺され「事務屋」になりがちな人事部門ですが、戦略人事に脱皮するには、本書も助けになると思います。