【読了】人を育てる賃金制度の作り方
2020.01.08
タイトルの通り、賃金制度の目的や設計時の注意点などが親切丁寧に書かれている。
なので、人事実務をこれから始める人には向いていると思います。
私自身は元々企業人事にいましたが、賃金に実務で関わっていたわけではありません。
(人材開発が仕事だったので)
ただ、評価制度を設計する時に、その延長にある賃金制度も設計することとなり、その時にがっつりと学んだ記憶があります。
本書のいいところは、タイトルに「人を育てる」とありますが、賃金制度単体で人を育てる仕組みができるわけではない、と言うことを明言しているところに好感が持てる。
等級制度、評価制度、賃金制度。この3つが相互作用をして初めて人を育てる仕組みが形になる。
(それでも制度があれば育つわけではない)
そしてその上流には経営理念や行動指針、人材育成ポリシー、ビジョン、目標などがあり、それらを実現するために制度がある。という前提をきちんと伝えている点が素晴らしい。
この「ちいさな~」シリーズで経営理念の作り方や評価制度の作り方の本があるのは、そういった流れを著者が実務の中で大事にされているからだと思う。
制度と言うのは会社からのメッセージ。単にルールを作るだけではない。
「こんな行動を期待していますよ」ということに対して賃金は支払われる。
評価制度ありきではあるが、どんな行動やどんなパフォーマンスを期待しているのか?
それが伝わる制度にしないと、何に賃金が払われているのかが分からなくなってしまう。
そしてその制度がオープンでないと、公正さが失われていく。
たまに、就業規則や賃金制度を社員にオープンにしていない会社があるが、もってのほか。
ルールをブラックボックス化することで不信感しか生まない。
オープンに。透明に。公正に。
そして運用を公正にし続ける努力。
常に修正をかけていく柔軟性が社員に使われる制度になるためには必要だと、改めて考えました。