Know-How ノウハウ

【読了】『人事制度の未来』

2024.06.23

サブタイトルの通り、給与と評価を分離せよ、がメインテーマ。

前半は人事制度の概要の説明。やや退屈だけど、人材育成のための人事制度、というポリシーが一貫している辺りは、まさしく正しい人事の人が書いたんだな、と感じます。

そしてメインテーマの給与と評価の分離。

簡単に言うと、評価⇒報酬とつながることで、どうあっても「アメ」をぶら下げることになるし、もっと言えば客観的な評価なんてできないんだから、報酬とつながった時点で納得感が薄れ、相対評価になってしまい、社員からすると不公平感に繋がってしまう。という話。

勿論昇給や昇格というアメで社員をモチベートする気は全くないけど、結果そうなっちゃうよね、という話。

まあ、確かにそうだ。その外発的動機付け感を薄くするために評価面談や日々のフィードバックがあり、育成色を強めていく事が私は大事だと思っています。

しかし著者の論調で言うと、給与をコストではなく投資と捉え、未来にどんな貢献をするのかを上司と部下で対話をしその上で部下に給与を決めさせよう、というのが本書のメインテーマ。

というあたりから私の納得感が薄れてくる。

正直理想は給与と評価を分離する。それには同意です。

でも、一方で経営者の想いとしては、貢献してくれた人に報いたい、という想い。

(貢献できなかった人を貶める、という意向は一切ない!)

これを実現しようとすると、どうしても部下のパフォーマンス(貢献度)を測らないといけないし、それと給与を紐づけるルールが必要になる。

一方で上司と部下の対話で給与を決める、というのは、非常に高い倫理観と、部下サイドにも高い経営者目線が求められるので、現実的に難しいと感じてます。

いや、課長以上には十分可能な気がしますが、新卒で入ったばかりの2年目3年目の若手には難しいと感じました。

そしてそこへの解決法が提示されていなかったのはちょっと残念。

最後まで理想論の域を出ませんでした。

 

ただ、正しく人事制度を回す、という意味では非常にシンプルで分かりやすい。人事パーソンとしての土台を作るには最適だと思います。