ルールは皆を守るため_268
2022.12.20
『課長と組織を変える研修コーチ』
clear kyotoの森川です。
ルール、と聞くとなんか、言う事聞かないといけない、ちょっとした「圧」を感じる言葉ですが、実態は意外とそうでもありません。
むしろ皆(特に部下)を守るためにあるのです、という話。
今丁度某自治体さんの管理職向けに、コンプライアンスの研修に登壇しています。
色々な事例を紹介しながら進めているのですが、不祥事って、当事者の「動機」だけでは起きにくい。
そこに、「あ、できそう」と思える「機会」がくっつくことによって、不祥事の発生はぐぐんとアップします。
言い方を変えると、「できそう」って思わせない運用をすることが不祥事の発生を未然に防ぐ、とも言えます。
もっといえば、部下に不祥事を起こさせないということは、部下を守る事にもつながります。
不祥事をさせない、という意味合いで。
飲酒運転は「しない」「させない」みたいな話です。
この「機会」を取り上げるには様々なルールをきちんと守り運用することが大事です。
といいつつ、実は私も若い時これが分かっていなくて、結果不祥事を起こさせてしまったことがありました。
社会人2年目の時、私は福利厚生の管理と運営を担当していました。
その仕事の中に「慶弔見舞金」ってのがあって、社員やそのご家族の慶事やお悔み事があると、現金でお祝い金や香典を出していたんです。
つまり、現金を管理していたんですね。
未熟だった私は、忙しいからということを理由に、その制度の運用のほとんどをアシスタントに任せてしまい、ダブルチェックすべきところを省いたり、金庫のキャビネットのカギを渡したりして、タイムリーにお金を渡せるようにしていました。
本来は私がその申請書を承認してから金庫を出し、帳簿を着け、私が現金をアシスタントに渡す、というルール。勿論金庫のカギは私だけ管理、です。
これを大きく緩めてしまったのです。良かれと思って。(だって、ほとんどそのころ席にいなかったので)
で、どうなったか。現金がなくなったんです。金庫から。
部長に報告し、始末書を書きました。
その時に部長に言われたのは、
「森川、この件はした人も悪いが一番まずいのは、お前がルールを緩めたこと。それができる、と思わせてしまったんやで。」と言われました。
数年後、私はギャップのマネージャーをしていました。
その時も「バッグチェック」というのがありました。
シフトアウトするスタッフは全員、マネージャーのバッグチェックを受けないと帰れない、というルールです。
つまり、商品盗んでいませんよ、と証明してからじゃないと帰れない。
最初このルールを見た時、スタッフを疑っているみたいで嫌やな、と思ったのですが、その時の上司に言われたのは、
「バッグチェックは彼らを守るためやで。身の潔白をちゃんと証明してあげてんねん。」と言われました。
なるほど。たしかに。
不祥事を起こさせない、というのは愛情なんです。部下を守るための。
ルールだから守るのではなく、部下を守りたいからルールを守る。
それが部下への愛情なのだと思います。
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■clear kyoto合同会社 代表 森川 宗貴(もりかわ むねたか)
■ACC(国際コーチング連盟認定コーチ)
■キャリアコンサルタント(国家資格)
■(一社)日本スケジューリング協会 専務理事
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