【読了】『嫌われた監督』
2022.01.08
読み応え抜群。量もすごいが内容も濃厚。
読みながら一貫して考えたことは、「プロフェッショナルとは?」ということ。
ご存知の通り落合さんは現役時代両リーグ三冠王という抜群の成績を残した名選手。
そして監督になってからもリーグ優勝は勿論日本一にもなっている。
でも、世間の評判は芳しくなかったと記憶しています。
私はあまりプロ野球に関心があるわけではないし贔屓の球団も全くありません。
野球は好きなので球場に観に行くだけ。
そんな私でも分かるくらい落合監督の評判はイマイチでした。
世間受けが悪いから。
でも、本書を読んでいると当時の落合監督が何を考え遂行していたのかが、選手を通して伝わってきます。
「勝つこと。優勝すること。」
それが監督に課せられたミッション。それを粛々と遂行していたにすぎない。
勝てるチームを作る。
勝ち続けることができるチームを作る。
選手起用も選手の育成も全てはそこに尽きる。それ以上でもそれ以外でもない。
そしてそこには一切の妥協が入らない。
物凄くシンプルなんですよね。結局それは落合監督の野球理論もそうだし、監督としての考え方もそう。生き方もそうなのかもしれません。
自身の影響の輪に集中し、関心の輪は放置する。つまり、コントロールできない事にはパワーを使わない。(評判とかメディアとかフロントとか)
勿論そこで一抹の寂しさややるせなさを感じることは多々あるけど、結局強いチームにすること。勝つことでしかチームも選手も守れない。
選手を守れなければ強いチームにもならない。
一見冷徹で非常な監督にも見えるけど、選手を通してみる落合監督は、言葉少ないが選手を「プロ」としてリスペクトし、関わっているようにも見える。
だから退任の年選手は奮起し、リーグ優勝を実現したように感じる。
なんていうか、落合が監督として実現したかった「プロ集団」としてのチーム作りが実現した感じ。
それを選手も感じているからこそ、お互いに言葉少なくとも感謝と尊敬が行き交ったのだと思う。
とても面白かったです。スキー旅行中に一気に読みました。