【読了】『中原の虹』①~④
2021.11.25
壮大過ぎて何も言えません。私ごときがレビューは書けないな、と思ってしまうほど壮大で切ない物語でした。
浅田次郎が描いた中国の歴史。ほぼフィクションだけど実際の話でもある、とのこと。つまり、史実を物語で脚色している。
登場人物が多すぎて覚えるのが大変。そして、前作の「蒼穹の昴」とか「珍妃の井戸」がか話の伏線にもなっているので、これらを読んでおかないと、この人誰?って事にもなる。
そして何がすごいって登場人物が本当に個性豊かに描かれている。
最初のうちは「この人悪い奴だな」と思っている人が意外とそうでもなかったりもする。
西大后は悪名高いが実は本当に祖国を守るためにあえてその悪名を着てでも守っていった。
途中から話の中心になってくる袁世凱も、最後まで悪い軍人にも思えたがそれも外国の国から中国を守るために帝政を引き、国民にボロカス言われて失脚。その失脚まで自分の天命に入っていて全うしている。
外国から来ているマスメディアも粋な人間が多い。
馬賊の張作霖はシンプルにかっこいい。「神でも仏でもねえ。俺は張作霖だ。」とか言って人を殺しまくっているが、義に厚く、貧しい人を助けている。
最後まで西大后に仕えていた宦官の春雲は西大后の意思を受け、張作霖と国を守るために国を亡ぼすことを画策する。
なんていうか、義の心、とでもいうのでしょうか。皆国の為。誰かの為に動いている。
その心が伝わってきて切なくなってしまう。私欲とかがない。だから美しくも感じてしまうのだと思う。
歴史は繰り返す、と言いますが、本書の中でも、明から清に移る時に同じようなムーブメントがあった。
そして清から中華民国へ。
時代の隔たりは1000年程あるけど、同じような事が起きている。
読んでみて改めて中国の歴史って全然知らないのね、と痛感。
でも、歴史から学ぶことは大きい。
読破するのに恐ろしく時間がかかりましたが読む価値は大いにありました。
(ちなみに続編がまだあるとのこと・・・)