【読了】長く高い壁
2021.10.24
日中戦争の時に、中国国内で起きた事件を、軍付きの記者が調査する、という話。
記者と書いたが本当は探偵小説家。(売れっ子)
当然軍の検閲の元に記事は公開されるので、都合の悪い事実を書いても没になるし、むしろ事実はどう在れ読者が楽しめるように創作しなはれ、ということでもある。
事件自体の異様さももあるけれど、どちらかというと日本軍の中の人間模様だったり、軍規の異様さに読んでいて気を取られてしまう。
日中戦争は前半日本は勝利を重ね中国内地まで進出し、管理地を増やしていった。
その管理地で起きた事件だけど、実情を見てみるとどうみても管理出来ていないし、少なくとも内地に進行しても中国の国力を削ぐことはできていない。
改めて無謀な戦争を仕掛けてしまったのね、と思わざるを得ない。
そしてそこに赤紙一枚で連れてこられる国民のやるせなさ。
当時は戦争は正義であり、軍も正義。言う事聞かないといけないような空気だったのだと思うけど、人権も何もあったもんじゃない。
でも、現実今でもそんな国が世界中には存在しているのね、と思うと切なくもなってくる。
民族や宗教の違いで世界は中々平和にならないし、個人的には戦争はなくならないんだろうなと、寂しく思っているけど、でも、誰も幸せにならない。軍需産業や一部の権力者だけが満足する戦争はなくなればいいのに。
昔、高速道路で渋滞が起きるのが不思議だった。車全部が同じスピードで走れば渋滞は起きないはずとか思っていたけど、そもそもそれが無理だから渋滞が起きる。
世界の皆が戦争なくなればいいと思えばなくなりそうだけど、そうじゃない人が居る限りゼロにはならないのね。
「悲しいけど、これ、戦争なのよ。」(スレッガー中尉)