【読了】『「書経」講義録』
2021.05.23
流石に読むのに骨が折れました。
書経は儒家の思想の五経の中の一つ。紀元前221年らへんに編纂された「真古文尚書」を基に火事などで焼失したものを再編纂したものらしい。
つまり、2300年以上前の書物であるが現代に生きる私たちにとっても生きていく道しるべになるものである。
何故か。それは「徳」を基にリーダーがどうすべきか。フォロワーがどうすべきか。
国を統治する(つまり、帝王学)にはどうすべきか、が書かれている。
でも、徳は「道徳」の元でもある。つまり、人として大切にしないといけない考え方と行動指針。
これは何年経っても変わらないことに改めて驚かされる。
本書の裏表紙にも、
「書経」、
は人生書にして経営書。
歴史書にして政治書。
リーダーシップ論にしてフォロワー論。
正に「人間学」の教科書でもあります。
とあるが読み進めると正にそうだと痛感する。
原文(つまり漢文)を紹介したのちに解説が入るのだが、この漢文が美しい。(らしい)
すいません。私にはよくわかりません。でも、仮名混じりにしてもらう事で漢文でも意味が伝わってくる。漢文のエネルギーは高い。
マイページごとに金言が詰まっているのが恐ろしい。濃厚過ぎて読むのに時間がかかる。
もう一言でいうと、リーダーは常に「誠実、謙虚、真摯、正しい行動」が必要。
そしてフォロワーにはそれがずれた時に言いにくいことも率直に言ってくれる人を置きましょう。
ということ。
そしてトップは常に全体(国)への影響を考えながら自律しましょう。とのこと。
つまり、民衆から搾取するのではなく、国を支えている民衆が豊かになるような政治を行い、自分自身は謙虚に、贅沢をせずに暮らそう、ということ。
神かっっ!と突っ込みたくなるが、それをしている時代は間違いなく栄えている。そして永続している。
でも、勿論そうじゃない王が即位してしまうこともある。
そして間違いなくそんな時は滅びている。
うーーん。つまり人間のしている事なんてここ2500年なんにも変わっていない。
歴史からまなんでいる トップは自分の利益ではなく常に利他。
もっと言えば全体が豊かになるために自律している。
自分の事しか考えていないトップは滅びる。
これ、スケールを変えて「チーム」という単位にしても一緒。
途中にあった、「徳の優れた人にはふさわしい官職を与えましょう。功績を残した人には報酬を与えましょう。」なんてまさしく現代でも一緒。
中国4千年の歴史から学ぶことは多い。
というか、ここから学ばずして何を学ぶのか?
ちなみに、本書のおすすめポイントは、都度当時の事例が紹介され、それに加えて現代版の「例えば」が入っている。
つまり理論だけではなく現実どうなん、と言う事まで言及されている。
だから腹落ちするのだとも思いました。