【読了】『白昼の死角』
2020.05.16
戦後実際に行われた知能犯(詐欺師)の完全犯罪のストーリー。
詐欺と書いたが彼が対象とするのは企業。
戦後まもなく東大の学生4人が金融業を始めるのだが、その発起人は隅田という超天才。
隅田によってその会社の基礎は作られているが、天才ゆえのもろさもアリ会社は崩壊。隅田も自死を選ぶ。
その後を継いだのが隅田の親友の鶴岡。彼が司法史上全くと言っても起訴できない巨額詐欺事件を起こしていく。実際にあった詐欺事件。
正直読んでいてその仕掛けの壮大さと私の記入とか法律の知識が不足していて、そのすごさが理解できないのが残念。
ただ、その胆力であったり、最後まであきらめない姿勢はすごい。どんな時でも自分の知識と知恵を総動員してこの状況を何とかしようともがく。
生きる力って結局そういう事なのかもね。
思考停止に陥るかもしれないけど、考え動き続けること。
ただ、気を付けないといけないのは、死ぬほど考えている、という点。
私は「ま、やってみよ」とか思って動いちゃうので、こういう緻密な犯罪とかは絶対向かない。(しないけど)
お金に群がる人間との縁はお金で切れていく。
でも、鶴岡にもわずかながら愛情があり、その妻は最後まで彼の理解者でもあった。
だから妻が死んだときだけ動揺したのだろう。
ボリュームが多く読みごたえがある本書。
なんやかんやで飽きずに読めるのでお勧めです。