部下は上司を超えていく!と信じてみる。
2019.06.05
先日ある建設会社の新人向けの研修に登壇しました。
その研修は某研修会社さんのキラーコンテンツ。
映像を通して仕事現場を疑似体験する研修なのですが、私は講師ではなく参加者の「上司」となり、仕事の指示を与えフィードバックしていく、というもの。
実際の仕事をしてもらうのでこっちもリアル上司になって向き合うのでとっても面白いプログラムです。
で、その研修の最後に、お客様に提案内容をプレゼンする。というタスクが与えられます。
内容をチームで練り上げプレゼン資料も作成しプレゼンの練習をする。
その過程で私もがっつりと関り彼らの仕事の品質が少しでも上がるように支援をしていくわけです。
勿論最後にはお客様にプレゼンまで行い、コンペになり、1チームだけ採択されるのです。
ただ、ここで難題が発生します。
私この研修何回も登壇しているので、どんな資料を創ればいいか、のある程度の答えを持っています。
勿論そうじゃなくても私自身の経験から「こうしたら刺さる」というものを持っています。
これが邪魔になるのです。
つまり、彼らをコントロールしたくなってしまうのです。
今回は3チーム。それぞれ話し合いの中でいい感じにアウトプットが出てきたのですが、1チームだけ中々進まない。
様子を見ているとみんなで言葉を紡いでいる。
なんていうか、名言みたいなのをみんなで考えているんです。
今までにないパターン。
面白い。
でも、時間もない。
そしてうまく言えないけど、このままじゃだめな気もする。(でも、それがなんなのか私もまだわからない・・・)
かなり迷いました。
そして正直に伝えました。
「あのさ。今の話の流れは面白いし君ららしさが出ていていいと思う。その名言って皆のこだわりなのかな?」
「そうです。」
「じゃあ、それは生かしたい?」
「はい。」
「分かった。じゃあ、それはそのまま生かすとして。でも、感じたこと伝えるね。
上手く言えないけど、今のままじゃ多分相手に伝わらない。名言はいい。でも、それだけじゃダメ。
なんていうか、で、どうなん?で終わりそう。もう一段掘り下げて具体的な行動レベルの言葉があると、もっと伝わると思う。どう思う?」
私の率直な問いかけでした。
アドバイス、ではないんです。感じたことを純粋に伝えただけ。コーチングでいうところの「フィードバック」。
すると、ここから彼らはそれを踏まえて第3の案をひねり出し、結果プレゼンは素晴らしいものになりました。
私がこれまで見たものは大分異質。
でも、面白い。
うーーん。
指導って難しいな、と思いました。
部下の仕事の成果までを支援するのが上司の仕事。
でも、そのプロセスで上司の想像の範疇を超えてきたときに(というか、外れた時)、コントロールしないこと。
「わからない」と言ってもいいのだと思います。
部下は上司の駒ではない。
少なくともコントロールすることとマネジメントすることは別物だな、と感じました。