【読了】『medium』
2024.08.19
普段小説のレビューは書かないのですが、ちと学びがあったので備忘録。
超美しい霊媒師、翡翠の霊媒で判明した事件の犯人を、ミステリー小説家の香月が物的証拠や状況証拠を積み上げて、後付けで犯人を追い詰めていく、という話。
そしてご多分に漏れずこの二人のロマンスがじんわり始まっていく、というお話し。
これ以上あらすじ言うと、完全にネタバレするのでここまでにしておきますが、最後のネタバレのシーンで中々深い言葉があったんです。
実はこの霊媒師の翡翠は奇術師なんです。
そして奇術師として言った言葉が中々深い。
「私たちの日常に探偵はいません。率先して、あれは不思議だ、これを考えるべきだ、そこが怪しいのだど、丁寧に教えてくれる人はどこにもいない。私たちは、自分達の日常の中で、何を考えるべきか、何を不思議がるべきか、自分自身の目で見定めなくてはならないのです。何が不思議かわかりませんか?小さな問題過ぎて考える必要がないですか?その価値がない?本当に?」
このくだりにはぐっと来ます。
これ、仕事でも一緒なんです。違和感を放置しないこと。分からない事を放置しないこと。
そして何よりも違和感を見つけに行く事。
この姿勢がないと、物事の表層だけを見てうまくいっていると勘違いしてしまう。
そして大事なことが流れていく。
「細部にこだわる」という言葉を昔の上司に何度も言われましたが、そういう事なんだな、と今は理解できます。
そしてこれって全部スキルなんです。
私はかなり性格が大雑把ですし、何があっても大体のことは「ま、いっか」と思えます。
でも、仕事の中では小さな変化を見逃さず、何故それが起きているのかを明確にしに行きます。
でも、そのお陰で早め早めに修正が効き、なんやかんやで結果を出すことができました。
つまり、やろうと思えばできる、という事です。
でも、そういうものの見方を上司は部下に教えないといけないよな、とも思いました。(教わったので)
本書自体は面白いです。本当に一気読みでした。
そして学びもあったし、一石二鳥。