【読了】『風塵抄』
2023.11.30
流石司馬先生としか言いようのない面白さ。
元々産経新聞に寄稿していたエッセイをまとめたものなのですが1980年代なんです。これらを書かれているのは。
政治や社会への風刺。司馬先生がその時に感じられたことをつづっているのですが、このクオリティのものを毎日書くって何?というレベルです。
そして当時の世の中と今の世の中って結局あまり変わっていないなとも感じます。
勿論この30年でものすごく変化しましたが、その中にいる人間はあまり変わっていない。
本書の中で管理職について書いてある日があるのですが、これが本当に本質的。
「人間はそもそも人や仕事を管理する能力なんて稀有なんです。だからまず徳がなければいけない。
徳など、若いころから自分を無にして他者や仕事に奉仕できるように訓練を続けて初めて出来るもので、年功序列がその徳をつくるものではない。」
つまり、GIVEし続けることで徳が生まれる、ということ。
年齢や役職があがる=徳ではないよ、という事です。
昨今は自己成長とか自己実現を目指す人が多くて、勿論それは結構な事なのですが、スキルや知識だけ身に着けてもだめだという事です。
徳、つまり、人格ですね。
だから7つの習慣のサブタイトルも「人格主義への回帰」。
その後に司馬先生も言われていますが、人は40代で人格が出来るようである。そうすると50代、60代は豊かになるよね。と言われています。
つまり、人生は積み上げたものしか手に入らない。ただ、積み上げ始めるタイミングが遅くても積みあがるから大丈夫。
人間の本質そのものは大昔から変わらないのね、と改めて。